私たちが色を見るためには、光源・物体・視覚の3つの要素が必要です。
光源がない場合は、真っ暗で何も見えません。物体がない場合は、見る対象がありません。視覚がない場合は、物体の情報を捉えることができません。
光は電磁波の一種です。電気と磁気の性質を持つ電磁的エネルギーが空間を波となって振動しながら伝わっていきます。電磁波は、波の山の高さを表す振幅と山から山までの長さによって波の周期を表す波長の2つで表現できます。波長の違いによって色が変化します。
波長:波の山から山までの長さ。
振幅:波の山の高さ。波の大きさを表す。
波長の単位:nm(ナノメートル)。1nmは1億分の1cm
電磁波の波長はnm(ナノメートル)という単位で表される。波長の大きさによって電波、マイクロ波、エックス線、赤外線等に分類される。電磁波のうち人間が感じ取れる波長は約380nm~780nmとされる。この範囲の波長の事を可視光と呼んでいる。
光が物に当たった後の進み方は7つあります。それは、①反射②透過③吸収④屈折⑤干渉⑥回折⑦散乱です。それぞれご説明します。
光の反射は鏡の様に光が物体に当たる入射角と反射角が等しい正反射と光が様々な方向に反射する拡散反射があります。正反射は滑らかな面、拡散反射はマット紙の様な凹凸のある面で起こります。
光が物体の内部を通過して出てくる透過には、透過した光が真っ直ぐ進む正透過と様々な方向に光が散らばる拡散透過があります。正透過は物体が透明なガラスの様に透明感のある滑らかな面を通過する場合に起こり、拡散透過は曇りガラスの様に光沢やツヤのな凹凸な面で起こります。
光が物体に当たり反射や透過がされないと吸収されます。全ての光を吸収すると物体は黒く見えます。
例えば、空気から水の様に光が異なる物質を進むときに直進せず、曲がる事があります。これを屈折と言い、曲がる角度の事を屈折率といいます。
複数の光がお互いに影響を与える事です。光は波の一種ですので、同じ波長の光同士が重なるとそれぞれを強め合い、逆の波長の光同士が重なるとそれぞれを弱めます。
波には小さな穴を通過すると広がって進む性質があります。光も波の性質を持つために、回折が起こります。
光が大気中のちりや水分などの細かい粒子にぶつかると様々な方向に散らばります。これを散乱と言います。昼間の空が青く、夕方の空が赤いのは太陽光が散乱しているからです。
各国の伝統色はその国の歴史と深い関係があります。
ヨーロッパではキリスト教の信仰により混色を禁止していました。(神が創り出した自然の秩序に反するという考え)そのため、ヨーロッパでは原色が多い文化です。
一方で、日本では、飛鳥・奈良時代、平安時代に大陸からやってくる色鮮やかな色彩の物はごく限られた人しか目にすることができませんでした。また、室町時代の頃には「わび・さび」といった染めの濃淡の文化が生まれます。このことにより、日本の伝統色が中間色化していったと考えられます。
さらに、江戸時代には幕府が贅沢禁止法、いわゆる奢侈禁止令を発令し、どんな身分であっても、贅沢な着物を着てはいけないとされました。庶民の「着物の色・柄・生地」にまでも細かく規定を設け、着物に関して身につけられる物は、素材は「麻」または「綿」、色は「茶色」「鼠色」「藍色」(納戸色)」のみと限定されてしまいました。
この制限の中でも許された色を用いて、四十八茶百鼠といわれるほどの多様な色が生み出されました。
こういった歴史的背景もあり、日本人は中間色を好む傾向にあります。色と性格の関係からも、純色の様な彩度の高い赤や黄色よりも、ピンクの様な中間色を好む傾向があります。
これは、日本人のハッキリさせずに曖昧な部分を残す性格とも一致するのではないでしょうか。
国によって色の好みが分かれます。主な要因として5つあります。
①宗教、歴史的背景の違い、②太陽光が届く波長の違い、③性格背景の違い④空に含まれる物質量の違い⑤背景色の違いです。
「伝統色と日本人の性格」でも書いたように法律で禁止されたりするとその色以外が多用されるようになります。
緯度によって太陽光の色は変わります。赤道近くでは太陽光は赤みを帯びていて、赤道から離れた場所では、太陽光は青や紫の色味を帯びます。これは、色の波長の違いによる現象です。赤道近くでは色鮮やかな暖色はより鮮やかに感じられ、彩度の高い色が綺麗に見えて好まれます。一方赤道から離れた場所では、寒色系の色が綺麗に見えるので好まれる傾向にあります。
赤道近くの鮮やかな色が美しく見える地域では、鮮やかな色が好まれることは②で書きましたが、性格にも影響を与えます。赤道近い地域の方がより陽気で明るい性格になっていく傾向があります。
空気中にあるチリや水分量の違いは、太陽光の波長の遮り方が変わるため、影響を与えます。空気中に遮るものが多い湿度の高い地域では光が濁ってみえます。そのため、北欧の様なそういった場所では低彩度の色に慣れ、自然と低彩度の色が好まれる傾向があります。
ギリシャの地中海地方の済んだ青と白い壁の組合せがある街並みと日本の木造建築のある街並みでは、それぞれを背景にした時に異なる感じ方をします。そのため好む色の傾向も異なります。
海外展開を検討される際は上記を踏まえて考えられてはいかがでしょうか。