“呉須は磁器の染め付けに用いる鉱物質の顔料。酸化コバルトを主成分として鉄・マンガン・ニッケルなどを含み、還元炎により藍青色ないし紫青色に発色する。天然に産した中国の地方名から生まれた日本名で、現在では合成呉須が広く用いられる。” 『デジタル大辞泉』
中国・イスラム圏から天然呉須を輸入していたが、非常に高価であった。
明治3(1870)年、深海平左衛門がゴットフリード・ワグネル氏を有田に招聘した。ワグネル氏が合成呉須の製造方法を知るドイツ人化学者であったためである。深海に招聘されたワグネルは深海平左衛門、墨之助、竹治父子に呉須の化学的な製造方法を伝授する。この事により安価で発色の良い合成呉須が有田で使用され始める。
生呉須と焼貫呉須の2種類がある。焼貫呉須は生呉須を一度焼成する事で製品完成時の呉須の発色を安定化させるものである。(株)深海商店では焼貫呉須を製造している。
酸化コバルト(CoO)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化第二鉄(Fe2O3)、酸化ニッケル(NiO)、カオリン(粘土鉱物・Al2Si2O5(OH)4)等を調合することで独特の色合いを発色させている。